我が家に新しいスピーカーシステムがやってきました。
新しいと言っても、生まれは1974年で、その後1997年までの23年というロングセラーを誇る
YAMAHAのNS-1000M、通称センモニです。
放送局のモニタースピーカーとして使用されたこともあってか、比較的高価なセットであるにも係らず
20万台以上売れたという言わずと知れた国産スピーカーの 名機となります。
70年代頃のスピーカーはAcoustic Rsearch社のAR-3aのアコースチックサスペション方式によるブ
ックシェルフが人気を誇り、国産のスピーカーもこの影響を受けた多くの製品が出回りました。
この方式は1954年に発表されたもので、何しろコンパクトでありながら大型なみの低音再生を可能と
した当時としては革新的なスピーカであったとされます。 また、アンプの大出力化によって低能率スピ
ーカでも十分な音量が確保できるようになった事と、ステレオ方式の普及に伴い小型スピーカへの要求が
強まった事から、その後の「スピーカの主流を征した」(ステレオの産業史)とも言われています。
NS-1000Mもこの設計思想を受けて作られたもので、AR社と同じ完全密閉箱を採用し内圧変動が
大きいためエンクロージャは相当頑丈に作られおり、内部は吸音材で満たされ気密性にも十分に配慮され
ています。
NS-1000モニター、通称センモニと呼ばれますが、このスピーカーシステムは名前通りモニタース
ピーカーです。
モニター用のスピーカーですから放送局ですと送り出しの音声チェック、バランスなどの確認用が主な用
途です。 録音スタジオでも同じですが、早い話が音のアラ探し用に使われるワケですが放送局の方が需
要が多かったようです。
なぜ、これが一般用のスピーカーシステムとして人気が出たのか不思議なスピーカーでもあります。
モニター用のスピーカーは必ずしも大型である必要も無く、また低音がモリモリ出る必要もありません。
この用途にはむしろ小型スピーカーの方が使い易く、同社のNS-10M、通称テンモニの方が良く、こ
ちらは30万台売れたとあります。
センモニは巷で言われるように小音量では低音不足で、ある程度のパワーを入れないと本来性能は出ない
ようです。 まあ、モニター仕様ですからこれはこれで良いワケですが。
人気が出たのはやはり中高域の振動板にベリリウム振動板を採用していることにあり、その音が良く後の
ハードドーム型ユニットの全盛期を招いたとも言われています。
実際に聴いてもベリリウムの中高音は魅力的に聴こえますが、ウーハーに勝って聴こえますので好き嫌い
はこの辺りに出てきそうです。
使用に当たっては低音が出ないというか、中高音が出過ぎでもありますのでアッテネーターを絞り込む形
での試聴となります。
このスピーカーはモニター用として密閉型特有のかなり制動の利いた音で、余分な音が出ないと言うか、
キチッとした感じでバンドなどの録音のチェック用の他、アンプの良し悪しも良く出しますのでこれのチ
ェック用に主に使う予定です。
通常の音楽再生用途には、セッティングからアンプの選択までかなりの試行錯誤が必要になると思われま
す。
バスレフ等、改造する方法も紹介されていますが、その前に古い製品でもありますのでレストアが必要に
なるでしょう。
更に、専用のスピーカー台の製作から色々やることが多そうで、これはこれで暫く楽しめそうです。