今回は修理依頼のあったYAMAHAのF100-112 ギターアンプの修理を行ってみます。
これは1979年発売の12インチスピーカー一発の100Wコンボアンプです。 まだビンテージと呼べるまでに
は行きませんが当時の定価で10万円からの代物です。
100Wのコンボアンプは珍しく、しかもスピーカー一発ですからコンパクトと言えばコンパクトですが25Kgからの
重量があります。
このアンプは今でも人気はあります。
YAMAHAにしては出来の良い半導体ギターアンプで、硬めでどうにもならなかったJシリーズと違いFATな感じ
でかなり真空管を意識したような音作りになっています。
チューブアンプと比べれば違いはありますが、ROLANDのジャズコならこちらの方が好みです。
修理依頼内容は 「音が出ない」 それだけです。
ヒューズは切れていませんから電源は入れられそうですが、確認しますと症状は依頼通りのまんまでした。
外観を含めかなり使いこまれている感じです。 しかしながら、このアンプはまだまだ現役で使える内容を持っ
ていますので廃却とするにはチト惜しい。
さて、それでは直してみましょうと言うことで内部の点検を行ってみます。
裏蓋を外して内部を点検してみます。
パッと見て、ありゃっ! スピーカーが違う。
このアンプには確かYAMAHAのJA3062が使われていたはずですが、見るとFOSTEXの12W150に変更さ
れています。
12W150はPA用のウーハ―でギターアンプ用途には如何なものかと言う感じです。
特性を見てみますと・・・・やはりギター用には向きそうにもない。 まるで分かっていない。
耐入力は150Wからありますからガンガン鳴らせるか知れませんが、まあそれだけのものです。
念のためスピーカーのボイスコイルを点検してみます。
----やはりと言うか、導通がありません。
このスピーカーは見事に断線していました。 鳴るワケが無いよね。
150Wクラスのスピーカーが飛んだとなりますと、アンプ部の方も怪しくなってきます。
それはゆっくり調べるとしまして、ダメになったスピーカーの取り外しを行っていきます。
まず、内部のリバーブタンクを外してみます。
タンクのカバー無いからアキュトロニクスのリバーブユニット、4EB3C1Bが出てきました。
意外に良いものが使われていました。
スピーカユニットを外して点検しますと、どうやら完全にボイスコイルを焼き切ったようです。
と言うことでユニットは廃却となります。
スピーカーユニットを取り外し、アンプユニットも取り外してみます。
パワーアンプのユニットはこの放熱器のカバー内部に付いています。
アンプユニットの内部の状態です。
密閉されていますから年数の割に埃も無く一見状態は良さそうですが、40年近く経ったアンプですのでそうは簡
単に問屋が卸さないと思われます。
パワーアンプ部のカバーを外しますとパワーアンプ基板が見えてきます。
こちらも焼損したところも無さそうで見た目だけは良さそうです。
使われているトランジスタも今では古いものですね。
放熱器の反対側にはサンケンのCANタイプのパワートランジスタの2SC1586が2個取り付けられています。
これは今では同じものは入手困難品となります。
さて、このアンプの概要が分かったところで修理に掛かりたいと思います。
仮に故障個所が無かったとしても40年近く経過していますのでオーバーホールは必要になるかと思います。
それでは次回から少しずつ始めて行きます。