改造後の測定結果です。
まずは入出力特性からです。
カソードNF後の裸ゲインは約34.5dB程ありました。 前作より約3dB程低くなっています。
これに今回はオーバーオールのNFBを12.3dB程掛けて見ますと、約0.74Vでノンクリップ11Wの出力が得
られました。
カソードNFには約4.1dB程掛っていますので、実質 12.3dB+4.1dB=16.7dB 程のNFBが掛っている
ことになります。
カソードNFの御利益によりDFは 約5 (at1KHz) となりましたが、NF量も少ないのでオリジナルの20には遠く
及びません。
前回のアンプが少し高感度でしたのでこれ位で丁度良いかと思われます。
なお、最大出力は14W程になりました。
残留雑音は0.2mV(補正無し)以下となりました。 これ位になりますと高能率スピーカーでも耳に近付けない
限りハム音は聴こえなくなります。 このことからもハム音はヒーターノイズが主成分であったことが分ります。
マイクロフォニックも減少しましたので本機は大変静寂なアンプとなりました。
次に周波数特性です。
高域は70KHz(-1dB)まで伸びており、かなりワイドレンジです。
10KHzでの方形波テストでは、ほんの僅かにオーバーシュートが見られます。
ダミー抵抗を外して0.47μFのみの負荷の時が一番暴れてリンギング気味ですが発振に至る程のものではあ
りません。 基本的には前作と似たような感じなので写真は省略しますが安定はしているようです。
と言うことで、細かい調整は今後も行いますが取りあえず測定が終わったところで仮試聴してみます。
前作でも感じたことですが、共通していて大変耳に優しい音が出てきます。
クラシック向けと言うか癖の無い音で、ビーム管で良く言われるビーム臭が全く感じられません。
6V6は音の良い球として知られますが、黙って聞いていたらビーム管であることはまず分らないかもです。
最近作ったバックロードホーンの「カイツブリ」との相性も良く、音場感の優れた再生音を聴かせてくれます。
特に弦の響きは美しくホール感も良く出てきます。
本機にはレコード再生用として以前製作したQUAD22タイプのプリアンプと組合わせます。
このプリとの組合わせは大変具合良く、半導体アンプ並みの超ローノイズなシステムとなりました。
それにしても、並べてみるとオリジナルのQUADのアンプはかなりコンパクトに作られていたことが分ります。
ここではプリに電源部を内蔵させ、独立型のプリアンプに仕立てたところがミソとなっていますが...。
そのようなことで、これから我が家の主力機として稼働させていく予定です。
次回、製作する真空管パワーアンプがあるとすれば、またQUADタイプかなと思わせる程のお気に入りのアンプ
となりました。