さて、QUADⅡ Typeアンプのその後です。
このアンプは音は良かったのですがマイクロフォニックノイズが酷く、ボンネットを軽く叩いてもボンボンと響きだし
ます。 こうなると大きな音を出そうものなら設置場所も考えないとハウリングの心配も出てきます。
6SH7の球のバラつきもあろうかと取り替えてみますと、今度はヒーターノイズが目立ち始めます。
ヒーターノイズのバラつきも大きく選別しなければならずで、しかもマイクロフォニックは相変わらずの状態です。
ヒーターノイズだけならヒーターの直流点火で対処出来ますがマイクロフォニックまでは無理です。
そのようなことで本機は暫く放置状態でしたが、ある時6SH7の規格表を良く良く見ますと "The6SH7 is not
recommended for use as a high-gain audio amplifier, becauseundesirable hum may be encount
ered." 「望ましくないハムが発生することがあるので、6SH7は高ゲインオーディオアンプとして
は推薦されません」と言う一文に目が入りました。
まあ、横文字までは良く見ませんので・・・・どうやら肝心なことをうっかり見落としていたようで
す。
6SH7は元々オーディオ用の球ではありませんが「QUADⅡ forty」で6SH7を採用して
いたので大丈夫だろうとそのまま採用してみましたが、ハムもそうですがマイクロフォニックの方が酷
く、KT88より感度の高い6V6には不向きだったようです。
しかもオリジナルは20dBからのNFが掛っているはずですから多分問題無いのでしょう。
と言うことで、6SH7の使用を断念しまして他の球に交換することにします。
候補としては順当にはEF86(6267)と言うことになりますが、相変わらず他の球から見れば価格も高く改めて4
本揃えるのも少々きついので、今回は6SH7とほぼ同等品の6AU6にて設計変更してみることにします。
この球もヒーターノイズのバラつきが大きいのでく選別の必要はあります。
ここでは選別するよりはヒーターの直流点火を検討した方がコスト的にはEF86より安価で済みますので最初か
らこれで進めます。
と言うことで、その後6AU6に換装したのが下記の写真です。
ついでに5V6がバラ球でペアのバランスも良くなかったので手持ちの6V6に変更しています。
6V6は旧ソ連製の軍球の6n6c(6P6S)です。 音は悪くは無さそうです。
電源部の回路です。
変更回路で諸特性の測定を行ってみます。
基本的には前作と同じような測定結果になるはずですが、6AU6は6SH7とは厳密には同等ではありませんの
でゲイン等、多少の差が出てきます。
QUADのアンプは一見シンプルですが実に複雑な動作をして、一つでも部品なり定数を変更しますと全体のバラ
ンスが崩れてきてACバランスの再調整が必要になります。 この辺りは実に巧妙な回路なのです。