今回はアンプの銘板(エッチングプレート)を製作してみます。
自作アンプと言えども銘板が取付されますと、それなりに見栄えがするものです。
雑誌などの製作例には良く見掛けますが、これを特注として専門業者に製作依頼しますと意外と高価なものにな
ります。 ですので、アマチュアのアンプに使われることも少ないですが、自作も可能とあればこれをやらない手
はありません。
エッチングプレートの一般的な製作方法にはアイロン転写方式が良く使われているようです。
これはプリント基板製作でも比較的手軽に作れますので多く使われていますが、この応用版と言ったものになり
ます。 従いまして、プリント基板が作れるならエッチングプレートも作れると言うことになります。
製作方法は他のサイトでも紹介されていますので製作の際には参考になると思います。
しかし、銘版の仕上がりの点では感光剤を用いた方式の方が良くなります。
ここではポジ感光剤が入手出来ましたので、露光器を使った方法でエッチングプレートを製作してみたいと思いま
す。
塩化第二鉄溶液を使ってエッチング出来る材料は銅板、真鍮板、ステンレス板がありますが、アルミは不可で
す。 と言うことで、銘板に良く使われる真鍮板を使って自作アンプ用の銘板の試作を行ってみます。
真鍮板はホームセンター等で入手出来ます一般的なものを使います。
銘板用に板厚0.5mm(100×30)のものを所要寸法にカットして使います。
カットされた板材にポジ感光剤を塗布します。
1.板材は皮脂、埃、錆などがあれば除去します。
2.埃を嫌いますので極力、埃の少ない環境で塗布燥作業を行います。
3.乾燥は光の当たらない場所で乾燥させますが、この際も埃の少ない場所を選びます。
4.塗りすぎの場合、板材の縁に感光剤がたまり易くなりますので綿棒で縁をなぞるように吸い取ります。
5.乾燥後、2時間程で感光出来ますが、150度のオーブンで5分程度プリベークしますと良い結果が得られま す。 ドライヤーの熱風でもOKです。
次に、予め製作した原稿を用意します。
エッチング用のインクジェット用のフィルムシートもしくはOHPシートを使いモノクロ印刷しますが、その際白黒反
転画像とし更に鏡面印刷として板材の感光面に印刷面と密着させるようにします。
印刷されたフィルムは露光器の上面にセロテープ等で固定しておきます。
感光用の真鍮板を原稿の上にのせガラス板をのせて密着させます。
露光時間は基板面から10cm程はなした27Wの蛍光灯で10分程が目安のようです。
本自作露光器では約9分程で適正露光となりました。
露光が終わりましたら現像を行います。
現像材はサン●ヤトのものも使えますが、付属の現像材1グラムをぬるま湯100ccで溶かして使います。
ここから先は一般的なプリント基板を作る方法と変わりまりませんので、詳細は本ブログのライトボックスの製作
にも書かれている内容を御参照下さい。
真鍮板材の裏面にはマスキングテープを貼るか、露光材を塗っておくかしてマスキングしておきます。
板材の側面側にも同じようにマスキングしておきます。
使用するエッチング液は画材店等で売られている塩化第二鉄溶液を使っています。
こちらの方が安価ですが普通に全く問題なく使えます。
エッチング時間はエッチング液の温度との関係もありますが、この時期の常温で3~4時間位掛けて文字を深く
彫るようにします。
下記写真のものが出来あがった状態です。
これはエッチング時間を4時間と長く取りましたので多少虫食いが出ているようです。
また感光剤の塗布ムラやゴミ付着あったりしても仕上がりに影響を与えてきます。
特にエッチング時間は幾つか試して適正な時間を決めていく必要はあります。
銘板の文字部にラッカー塗料を塗り込みます。
これにはタッチアップ用黒の筆付き「ちょっと塗りPAINT」を使っています。
塗料乾燥後、板材表面をひたすら研磨します。
最後はコンパウンドもしくは金属磨きで表面を仕上げます。
錆止めにクリアーラッカーをスプレーして乾燥させこれを完成させます。
出来あがった銘板をアンプに取り付けてみます(写真参照)。
取付方法は普通にビス止めでOKですが、試作品ですので両面テープで止めてあります。
試作品としてはまずまずかと言うところですが、製作にはコツがありますので後は数をこなして慣れていくしかな
いようです。
エッチングプレートは応用範囲が広くアンプの銘板の他、機械の銘板、表札や鉄道模型等色々なものに利用され
ますので一つ覚えておくと便利かも知れません。