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TX-8900Ⅱ FMチューナーの修理

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パイオニアのFMチューナーのTX-8900兇任后

今回はこれを修理してみます。


年式は1976年製ですので40年近くも前の製品となります。

プリメインアンプのSA-8900兇肇撻△里發里任垢、チューナー単体で見ますと定価65,000

円と当時のものとしては大変高価な方に入ります。 



下位機種のTX-8800は良く売れたと見えて中古市場でも良く見かけますが、本機は6万円からの高

級チューナーと言うことだからなのか、はたまた単純に人気が無かったのか分かりませんがあまり見かけ

ません。


主な特徴は、FMは5連バリコン、AMは3連バリコンでMPX部はPLL方式を採用し、IF部の検波

器には超広帯域直線検波器と言うちょっと聞き慣れない方式のものが使われています。


この頃には既にICも多用されてきて複雑な回路は専用ICの中にブラックボックス化されており、何も

分からなくても一つのパーツとして扱うことが出来る時代に入っていたようです。



症状は良くあるFM、AM共に受信感度が低いと言うものです。

これは年数的にも普通に経年劣化したものでしょう。


さすがに6万からのチューナーの整備となりますと専用の測定器が欲しくなります。

それなりの値段のするものですが調整には必需品となります。

チューナーの修理はあまり無かったのですが、なぜか最近増えてますので揃えても良いかなとも思ったり

します。



取りあえず、中身を見てみます。

割とギッシリ詰まっている方です。  重さも9.1Kgありますからチューナーとしては立派なもんで

す。




イメージ 1





フロントエンド部です。

FMの周波数直線型の5連バリコンにAMの3連バリコンが見えます。




イメージ 2





底面部からの内部状態です。




イメージ 3





修理内容は普通にオーバーホールとなります。


劣化コンデンサ、トランジスタ等の部品を交換を行いました。

トランジスタは入手困難品もありますので代替品を調べて使います。


ランプはまだまだ使えそうです。 これはそのままとし次回、球切れした時に考えましょう。



と言うことで通電チェックです。

受信感度は特に調整することも無く上がり普通に使えるようです。 

古くて動作はしているものでも、このように劣化部品交換だけで感度を上げることが出来ます。


暫く、この状態で様子を見てみます。


...ン、40年前のものがこのままで終わるワケが無いと思っておりますとやはり症状が出てきまし

た。


何となく音声は歪っぽく、途中でポツポツとポップノイズも混じるようになりました。



歪は接点が酸化した時の濁りに似ていますので、接点を持つスイッチ類の点検整備となります。

特にロータリースイッチの接点が酷く、整備しましたらこれは復旧しました。



ポップノイズの方は厄介で連続性が無く不定期的に現れます。


これは半導体ノイズとも抵抗ノイズとも違うようですし原因不明です。

最初は冷蔵庫等からのパルスノイズもしくは車等のイグニッションノイズかとも思いましたが、どうもこ

れとも違うようです。



暫く考えて、やはりアレしか考えられない....と言うことで半田不良を疑います。


基板を目視検査してもハンダのクラック等の状況は確認出来ません。

しかし、これしか原因が見当たりませんので、取りあえずハンダの盛りの少ない箇所、熱影響を受けやす

い箇所、機械的に何等かの力の加わっているようなハンダの箇所を中心にハンダ盛り作業を行ってみま

す。


これ等に一番該当する怪しい基板は電源基板となりますので、まずはここから始めてみます。



ハンダ修整終了後、通電しノイズの発生状況を確認します。

どうやら、この時点でノイズの発生はピタリと止まったようです。 1時間、2時間と様子をみても発生

しなくなりました。 予想通り、主原因は電源部にあったようです。

結局、1日通電して確認しましたが何等異常を認めませんでした。

念のため残りの主回路の基板についてもハンダ盛りを行ってみました。


これらの作業でポップノイズは完全に消えました。




さて、アンテナ出力は75ΩのFコネクターが使えない昔ながらのケーブル直付け式でしたので端子板ご

と新規製作してFコネクターを使えるようにしました。


整備後の内部写真です。 




イメージ 4





AMの方も感度が低いようですが、電波状況の悪い場所での作業ですので整備後の状況は特に変化が無い

と言うか良く分かりません。

AMは調整箇所が少なく、コア等を調整しても変化も少ないようです。


メインの回路はIC一個に纏まっており、3連バリコンを使っているとは言え基本的には普及機クラスの

ものとも回路は同じようです。

このICはまだ何とか入手可能なので新規交換を行ってみました。

何しろ脚部は酸化して真っ黒ですので、これが何も異常無く正常なものとも思えません。


この交換効果はあり、受信感度が少しですが上がりました。 

アンテナを張るなり、付属バーアンテナでも受信状況の良い部屋なら実用レベルになるでしょう。

部品の劣化が原因によるものは、ただ調整しただけでは感度は回復しません。


このICの他、パイオニアの専用ICが幾つか使われています。

まだまだ暫くは使えると思いますが、これらが劣化もしくは故障すると代替品も無く入手困難なことから

少々厄介なことになります。

これらが今でも入手出来るなら交換しておきたいたいところです。




イメージ 5





次にツマミ類及びパネルを外して内部清掃を行います。

特にフロントのガラス面にはカビもあったりしますのでガラスクリーナー等で磨いておきます。


さて、その後はアンテナを接続してFMの受信テストです。


FMは受信感度、選択度もまずまずで価格なりのものが感じられます。

音質は特筆すべき際立った処は無く少し平凡な感じがしますが、雑音は少なく超ローノイズです。


この状態で、専用測定器で再調整を行えばもう少し良くなると思いますが、現状でも実用上はOKなレベ

ルにはあるようです。


まだまだ40年前の製品でもきちんと整備すれば十分使えます。

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