今回は再度ノイズの修正を行ってみました。
どうもまだまだ誘導ノイズを受け易く、当然ですがどうしてもトランスに近い方が不利になります。
作った時は気づかなくても暫くすると気になりだすのがアンプの残留ノイズです。
この辺りはトランスをケチったツケが来ているワケですが、ここは何とかノイズから逃げたいと言うこと
で対策を講じてみます。
色々、内部を調べますとトランス周辺にシールド板を設けることは効果があるようです。
L型アングルでシールドはしているものの気休め程度で、リーケージフラックスには効果は薄いと考えて
いましたが丸っきりでもなさそうです。
試しにアンプ周りを一部シールドしますとノイズは激減します。
これは上蓋を閉めた時と同じことになりますが、当然ながらシールド板がアンプ部に近い方が効果は良く
なります。
と言うことで、実際にアルミ板で初段部をシールドして見ますと具合が良いようです。
そうなると、今度はシールドする範囲です。
何とこれは初段だけでなくトランスに近いアンプ部全面に渡って影響を受けていることが分かりました。
トランスの向きはリーケージフラックスの少ない方向をアンプ側に向けていたつもりなのですが、予想以
上にフラックスが大きかったようです。
この辺りは電磁波計が無いと分かりませんが、取りあえず全面アルミ板で囲って見ました。
この効果はかなりあり、隣のChより誘導ノイズは激減しました。
ボリュームを上げても真空管特有のサーッと言うホワイトノイズが出てくるだけです。
プリアンプのノイズレベルは微小なので手持ちの測定器では正確には測れませんが、測ってもホワイトノ
イズを測定するだけかも知れません。
さて、ノイズ対策としてはもう一つ。 シャーシーのアースがあります。
アースがどうしても不安定でたまにバリバリッとノイズが出てきて、ハムノイズも出易くなるようです。
これも良く良く調べますと、ケースのアースが不安定で繋がっていないところがありました。
これはTAKACHIの完成品のケースにも見られますが、アルマイトメッキが施されているとケース内
のアースがうまく取れないことがたまにあります。
ここはネジ部の周りのアルマイトを削るなり、菊型ワッシャーを噛ませるなどしてネジ類を全て増締めし
てアースを確実に取ります。
修正後は安定しましたのでこれで大丈夫です。
アンプも静寂になってきますと今まで気づかなかったノイズも気になりだします。
もう少し手を加えたいところもありますが、通常の使用には問題が無いレベルにはなったようです。
と言うことで、ここで軽く仮試聴してみます。
真空管らしいしっとりとした落ち着いた音が出てきます。
クラシック向きか、いやフォービートジャズも女性ボーカルも中々聴かせてくれます。
電源部に半導体、ICを多用した回路を用いていますが、これによって真空管の持ち味が失せることも無
いように思われます。
本機はローコスト、ローゲイン、ローノイズを目指したものですが、安価な製作費用の割にはかなりまと
もな音が出てくるようです。
ゲインにつきましては、パワーアンプの入力感度にもよりますが46dBのゲインは使い易いようです。
50dBを超え60dBからのプリアンプはもう要らないと言った感じです。
それにQuad22のイコライザーは耐入力が大きいですから、高出力カートリッジが使えてしかもその
分ノイズにも有利になります。
暫くぶりにレコードを聴きましたが、やはりアナログの音は自然に聴こえます。
この音だけ聴きますとレコードが衰退した理由が全く分からない。
日頃、CDに聴き慣らされた耳にはアナログは大変新鮮に聴こえてくるようです。
暫くこの状態で聴いてみて様子を見ながら、またRIAAカーブの修正を含めて手を加えて見る予定で
す。