前回に引き続きYAMAHA C-2 の測定を行ってみます。
まずはトーン回路のトーン特性から見てみます。
BASS、TREBLEのそれぞれのMAXとMINを測定してみました。
カタログではBASSは50Hzで±10dB、20KHzで±10dBですが、実測ではBASSはMAX9.3dB、MIN
-9.6dBでした。 同じくTREBLEはMAX10.6dB、MIN-10.1dB でした。
どうも交換したコンデンサの誤差が僅かに出たようですが、まあ殆どメーカー発表値と変わりがありません。
可変量も±10dBまで使うこともありませんのでこれで十分かと思われます。
C-2のトーン回路は20ステップ,21ポジションのアッテネーターで切り替え、中点ではトーン回路がキャン
セルされますので完全にフラットとなります。 また、ターンオーバーはそれぞれ350Hzと3.5KHzになりま
す。
次にイコライザー部に移ります。
イコライザーの耐入力について調べてみます。
まずイコライザーのゲインは2.15mV入力時、出力は122.6mVありました。
このことから、イコライザーのゲインは約57倍(35.1dB、at1KHz)あることが分かります。
ラインアンプのゲインが16dBでしたので、プリアンプとしての総ゲインは16+35.1=51.1dB となり、約51
dB(約360倍)程あることが分かります。 これは標準的なプリアンプのゲイン構成となります。
よってイコライザー入力感度は約2.15mV (プリOUT 0.775V)となり、メーカー発表値とほぼ一致します。
ダイナミックレンジはPHONO入力 300mVまでリニアリティがあり、その時の最大出力は17.4V(at1KHz)
程あります。 更に入力を加えますと出力は上がりますが、入力500mVで出力23.1V程で頭打ちとなりま
す。
従いまして、イコライザーの耐入力は300mV(at1KHz)と見て良いかと思われます。
この頃のプリアンプでは半導体でも耐入力500mV程度のアンプもありましたから必ずしも大きな値ではありま
せんが十分であるとは言えます。
さて、次にイコライザーのRIAAの特性を見てみます。
これは大変見事なデーターが得られました。
中央の赤のラインがRIAA偏差を示しています。
実測では20Hz~20KHz間でRIAA偏差が±0.2dB以内に収まっておりメーカー発表値を上回ります。
20KHz以降はダラ下がり状態です。
LEFTchのデーターを示しましたがRIGHTchも同様でした。
イコライザー素子に使われた抵抗、コンデンサの精度が劣化も無くかなり良いことが分かります。
以上のことからC-2のレストア後も殆ど正常に、メーカーの初期性能を維持していることが分かりました。
C-2はSN比が大変良く、MCカートリッジもMM感覚で取り扱えるなど利点が多いです。 クセの無い音は物足
りなさを感じるかも知れませんが、イコライザーのデーターから見ても分かるようにフラットで色付け感は全くあり
ません。
我が家のパワーアンプでは力不足なのか、文字通りナチュラルサウンドのC-2とはどうももう一息と言う感が強
いようです。 ですので、他の良質のパワーアンプと組み合わせてみないと今のところは良く分かりません。
もともと同社のB-2、B-3辺りとの組合せを想定したもののようですので、本来の本領を発揮させるにはこの
クラスのものは最低必要なのかも知れません。
C-2が作られた時代のことを考えても、これはかなり良く出来た正統派のプリアンプと言うのが印象です。