今回は久し振りにエフェクターを作ってみることにします。
それもディストーションペダル。
そのディストーションペダルの中でも比較的高価で人気のあるのお馴染みのRATを取り上げて見たいと思いま
す。
これを取り上げた理由は下の写真のLM308Nをひょんなことから入手したことによります。
このRATは1978年生まれのロングセラーモデルであり現在も製造されているおりますが、御承知の通り現行
モデルよりは初期型モデルに人気があり、これらが非常に高価で入手が困難と言う状況にあります。
人気があるのはオペアンプにLM308Nを用いたもので、これにはモトローラ製のものとナショナルセミコンダク
ター製のものとの2種類があります。
それぞれ音質も異なるようで、更に製造時期の違いからも微妙に違いがあるとも言われております。
何しろRATは使ったことが無いので音質の比較の評価も出来ませんが、どうも初期型のタイプのものが良いよ
うで高価に取引されているようです。
この入手したLM308Nはナショセミの古いもので、多分20年近くは経過しているのではないかと思われます。
表面の質感も最近のものとは全く異なっています。
現在のRATはOP07CPを用いたものが出回っているようですが、やはり人気があるのはLM308Nを用いたR
ATロゴの「A」の中央にLEDを搭載したモデルの「RAT2」のようです。
RAT2は95年あたりから作られていますので、時期的にもこの時代のLOTのLM308Nが使われていた可能性
が高いのではないかと見ています。
何しろLM308Nはオーディオに使える特性でも無いし、測定器とかに使われる位であまり馴染みは無いのです
が、オーディオ的にNGでも楽器で音として使えればOKと言うことで、もっぱらRAT用のICと言うことでギタリスト
にはちょっと知られた変わったオペアンプなのです。
用途がそのようなものですから現在では入手難なオペアンプとなり、8PのDIPタイプのものよりCANタイプのも
のの方が入手し易くなっていると言う珍しい現象も起きています。
CANタイプのLM308Hは、これはこれでまた音が違うようですが現実はDIPタイプの方が好まれているようで
す。
RATは回路的にもシンプルで製作そのものは難しいところは無く初心者向きですが、シンプルゆえ使用する部
品等によっても更には回路定数の微妙な違いによっても音が変化するようで、その違いにかなり拘りを持たれる
向きもあるようです。
このようなシンプルな回路は使用するミュージシャンの演奏技術の方がウェイトが大きいような気もしますが、実
際に過去に売られてきたRATは製造年代を含めた個体差が大きいのかどうも評価がバラバラです。
総じてRATも古い方が良いと言うのが、ビンテージエフェクターに良く見られる共通した意見のようです。
このようにちょっと不思議なRATですが、せっかくの貴重なLM308Nですので試作して見たいと思っておりま
す。