銀座に行ったついでに暫く振りに築地の方にも寄ってみました。
築地にはあの著名な築地市場と築地本願寺があります。
昼時でしたので場外市場に寄ってみましたが、ここは相変わらずの賑わいです。
実は、この築地市場の近くにはもう一つ、あまり知られていないかもしれませんが波除(なみよけ)稲荷神社があ
ります。
築地では圧倒的に築地本願寺の方が有名ですが、実際には最古参の存在としては350年からの歴史を誇るこ
の波除(なみよけ)稲荷の方です。
「明暦の大火(1657年)後、築地の埋め立て工事が行われたが、荒波の影響で工事は難航した。その最中のある晩、光を放ち漂う御神体が見つかり、万治2年(1659年)、現在地に社殿を建て祀った。その後、波が収まり工事が順調に進んだことから、以降厄除けの神様として信仰を集めることとなった」 とあります。
今から350年程前、この築地一帯は一面の海だったこと。 埋め立てで出来た処だと言うことが分かります。
ここは昔から魚河岸で働く人たちに大切にされている神社なのです。
看板には「災難を除き 波を乗り切る」 とあります。
何とも縁起の良い神社です。
と言うことで、早速お参りで~す。
その前に、茅の輪をくぐります。
さて、この稲荷、鳥居から入って右側には獅子殿に安置されている雄獅子の天井大獅子があります。
黒檜一木造りで、高さ2.4m、幅3.3m、重さ1トンの白木のかなり巨大なものです。
御神体の凄さに驚いた人々は稲荷大神に 『波除』 の尊称を贈り又雲を従える『龍』、風を従える『虎』、一声で万物を威伏させる『獅子』の巨大な頭を数体奉納しました。
「災難を除き、波を乗り切る」 波除稲荷様として崇敬され災難除・厄除・商売繁盛・工事安全等の御神徳あらたかとされています。
同じく向かって左側には「お歯黒獅子」が鎮座しております。
木彫で高さ2.15メートル、幅2.5メートル・重さ700kgとこれも巨大です。
実は、この二つの獅子は神輿として担がれるものでもあるのです。
他に、この境内には市場関係者から奉納された石碑、「玉子塚」「すし塚」「海老塚」「鮟鱇(あんこう)塚」「魚塚」
そして「蛤(はまぐり)石」の六つの供養碑が並んでいます。
この波除稲荷神社の特徴とも云えるもので、いずれも供養のために 納められたものですが玉子塚は築地ならで
はのもので形といい大変珍しいものです。
築地には美味しい厚焼き玉子の店がありますが、ちなみにこの塚は東京鶏卵加工業組合が創立30周年を記
念して建立されたものとあります。
そして、これも築地ならではの「すし塚」です。 左隣には「すし塚の由来」の石碑が立てられています。
要約すると、私 たちが生活を営む上で犠牲にせざるを得ない生き物たちの供養と感謝の想いを込めて、 東京
都鮨商環境衛生同業組合の皆さまが建てたものとあります。
「海老塚」です。
東天会てんぷら調理協同組合が建てたものとあります。
以下、同じような趣旨からでしょうが、「鮟鱇塚」に「魚塚」があります。
更に、写真はありませんが「蛤(はまぐり)石」がありました。
どれも築地らしいので写真に収めてきました。
ここは小さな稲荷神社ですが、築地の歴史を感じさせるものがあり大変珍しく興味深いものでした。